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米は神様から借りたもの (金貸しと質屋の起源)

当時の日本人にとって米は生命に直結する貴重な存在でした。 米の場合は特に初穂に特別の意味が込められました。現代でも神社で厄払いなどをしてもらう時に、納めるお金のことを初穂料といいますが、その名残と言えます。
初穂はその年の最初に収穫された稲のことですが、神聖なものとして神に捧げられ神聖な倉に貯蔵されました。
その稲は特別な能力を持つものとして翌年作付けの時に貸し出され、収穫が終わると富をもたらしてくれた神へのお礼として借りた種籾に利息分をつけて倉に返されました。これが出挙の原型です。

この初穂は神の米であるから、当然のことながら絶対に返さなければならないものでした。
ところが米の生産性は他の穀類に比べると著しく高効率。「一粒万倍」という表現が使われることがありますが、それほどまでに増えれば、たとえ倍の利息を払ってもそれほど負担にはなりません。米は神秘的とも思えるような増え方をするから神聖だったのです。

ちなみに、北海道の平均的な農家に聞いたところ、一反(10アール)の土地からとれる種籾と収穫量の関係は、米が4キロと480キロであるのに対して、麦は10キロと360キロ。
麦は36倍になるのに対して、米は120倍にもなります。
これは農業技術が進化した現代の事だが、傾向として米が麦に勝る生産性を持っていたことは確か。
しかも麦は連作のきかない作物のため、毎年同じだけの主格量を確保しようとすると、米の3倍近い土地を必要とします。

さらに米の穀類としての栄養価は麦とは比べ物になりません。
米には他の穀類にない良質のタンパク質が含まれています。
だからパン食の国は必然的に肉の摂取が多くなります。いずれにしても、栄養豊富で大量に収穫を期待できる米が主食になっている国や地域は人口が多いのです。
この豊かな実りを与えてくれる米に古代の日本人は神聖なものを感じたのでした。

・米の保存性の高さが「お金の代わり」になった


米は人々の命の源である以上に、乾燥させて保存できるので食物としての生命力も強く、長持ちする。この特性はお金の代用品としてまったく好都合でした。
時間の経過とともに価値が減少するのではお金にはなりえないからです。たとえばイモを主食としている民族も地球上にはいるものの、イモの腐敗は早いから財産にはなりません。このような地域ではブタやヤギが財産になっています。
さて、弥生時代の遺跡に残る高床式の建物は米の保管庫だったといいます。
実りに対する神への感謝の気持ちとして、米は貢物としてこの建物に保管されまし。この貯蔵庫のなごりが現代に続く神社の社殿になったのです。

富山和子氏の「日本の米」によると、神社にある祠の語源は「穂倉」であって、倉庫としての性格を備えていたといいます。それが国家の体裁を整える過程で政府の米保管庫と変わっていったのです。
米の保管庫は正倉というが、ここに保管された米の貯蔵年限は法律によって定められまし。養老律令の倉庫令によると、倉に穀物を貯蔵するにあたっては、稲・穀・粟は貯蔵年数9年までとすること、雑穀は2年まで、糒(ほしい)は20年貯蔵することとして、貯蔵期間に応じた目減りを認めました。
糒というのは蒸した米を乾燥させたもの。保存食として備蓄するだけではなく、旅行などにも欠かせないものでした。生きるためのエネルギーを20年も貯蔵できるのです。米のことは実って「稲」、脱穀すると「穀」、正倉に収納された新米を「租」、保管して一年を過ぎると「税」と呼ばれましたが、まさに米は税として扱われ、それがお金の機能を持ち出したのです。

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