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金貸しの始まりは奈良時代の仏教イベント(金貸しと質屋の起源)

・古代の財テクは「ニセ金作り」だった

古代、飛鳥時代の日本人にとって、楽に稼げるビジネスとして注目されたのが「ニセ金(贋金)作り」。
日本最古のお金と言われる「和同開珎」が発行されたのは、705年ですが、 和同開珎が誕生したとされる和銅元年の翌年には、早くもその一つである贋金づくりの刑罰が記されています。 発覚したら杖で200回打つという罰です。

しかし、贋金作りは今と違って取締りも緩く、おいしい商売だったらしく、760年には、流通している貨幣全体のうち半分は贋金だったと報告されています。

金貸しも始まりは、贋金作りと同じように、楽して儲けようという動機で登場したようです。
ただ、残念ながら史書に最初の金貸しを探しても、明確な時期は不明。
ただ、物々交換が時代ではお金の使い勝手が悪く、借りてまで集めたり、使いたいという欲望もわかないはず。 始まりはおそらく、銭の流通を促進するための「蓄銭叙位令」が発令された711年ころと予想されます。

・最初に金貸しを始めたのは仏教寺院

材料を集めればすぐ開始できる贋金作りに比べて、金貸しは最初のハードルが高く、ごく一部の人しかできませんでした。
学校すらほとんどない時代に、利息という時間に対する果実を計算しなければならないからです。

高次の発想の転換と最低限の算数の知識が必要なうえ、元手がなければ貸すことはできません。
これらの条件を満たしていたのは、先ほどの蓄銭叙位令の対象になった高級官僚や、歴代の天皇から手厚い保護を受けていた仏教寺院でした。

日本の仏教は、推古天皇(在位592-628)の時代に節制を務めた聖徳太子により、手厚い保護を受けるなど国を挙げた施策がとられてきました。
その結果、貨幣が流通するようになると、仏教寺院は金貸しを始めるようになったと想像されます。
寺院が金貸しを始める最大の転機になったのは、奈良東大寺の大仏を作ったことで知られる聖武天皇の信仰心。
聖武天皇は大仏を建立するに当たり、鍍金(ときん)するための金の手当てに頭を悩ませていました。
それまで日本には、金はないものと思われていたため、金を中国から輸入しようと考えていたのです。

だから天平21年(749)に陸奥国で金鉱が発見された際はとても喜び、年号も宝を感謝する「天平感宝」にしたほど。
天皇はさらに同じ年に、奈良の薬師寺、興福寺、東大寺などの12寺に、最大で絹織物11,000メートル、真綿22,000メートル、麻布11000メートル、稲10万束、墾田の地100町を寄贈。おそらく金発見への感謝を込めたのでしょう。

一方で、天皇は、天下を太平にし、万民を助けて皆が楽しく暮らせるように、民衆を仏道に入らせたいと願っていました。
そのため、さまざまな宝物の寄贈に際して、天皇は仏典を転読し講説するイベント「修多羅供事」を行うよう寺院に求めました。 この資金として、贈り物を寺社に行ったのです。
続日本紀にも、「朕は遠く月日の尽きる限り、未来の窮まるまで、それ(修多羅供事)を続けようと思う。今その故に、右の品々を敬んで所持に喜捨した」と述べてあります。


しかし「未来の窮まる」まで修多羅供事を続けるためには、寄贈された財宝を運用していかなければなりません。
土地は減りませんが、それ以外はいずれ無くなります。そこで受け取った寺院はこれらの宝物をお金に換え、あるいはそのまま貸し出すことにしました。これが金貸しの始まりとなったのです。

ところが善行として始めたこの行為が弊害を生むのにそれほど時間はかかりませんでした。
寄贈は仏にされたものです、受け取るのは寺院です。その寺院は僧侶が管理しています。
仏門に入った身とはいえ、僧侶も人の子。 効率よく仏の富を増やすために高利貸しに転じてしまったのです。
この寄贈が行われた34年後の延歴2年(783年)12月、平城京最後の桓武天皇は寺院への不信感をあらわにしています。

「いま境内の諸寺は利潤を貪り求め、家を質に取ったり、利子を元本に繰り入れたりしている。三縄(寺を管理監督する役僧)が放棄を無視するだけでなく、宮司もまたへつらって容認している。どうしてこの官吏の道がたやすく国法に違反し、出家したはずの僧侶の輩が再び俗世間と結びつこうとするのか」と述べ、法に従わない場合、官人はその現職を解任し、財貨は政府に没収すると命じたのです(続日本紀)。
桓武天皇は平安京に遷都したことで知られているが、奈良の仏教寺院の行動にあきれ果てて、彼らを置き去りにしたまま平城京を後にしたのかもしれません。

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